日本高齢者虐待防止センター電話相談

2009年3月2日月曜日

日本高齢者虐待防止センター ニューズレターNo.4 

☆       2009年も早3月に突入しましたね。みなさん、お元気ですか?
予告より若干遅れ、ひな祭り近くにニューズレターNo4をお送りします。
介護殺人関連の情報が多くなり、なが~くなりました。適宜ピックアップして読んでください。

☆       No4のコンテンツは以下のとおりです。
★1「『家族の歴史』について思うこと」(防止センター 佐藤美和子)   p.1
★2「スキルアップとインフォメーション・テクノロジー」
(防止センター 梶川義人)                                        p.2
★3 成年後見制度関連の情報(3-1、3-2)                                p.3
★4 日本高齢者虐待防止学会理事会企画ワークショップ + 虐待防止デイイベントの
お知らせ                                                        p.5
みなさんのご参加をお待ちしています!!
★5 東京都主催虐待防止シンポジュウム                                p.6
★6 USA 虐待ニュース                                            p.7
★7 介護殺人関連ニュース(11件)                                   p.9
   ★8  新型老人保健施設「不適切」                                        p.18
 ★9  男性介護者を支える団体設立                                       p.19
 ★10  施設虐待ニュース                                                p.20
★11  ヒント集 「介護で家族を憎まないために」                            p.21

★ 日本高齢者虐待防止センターでは、このたび、『高齢者虐待防止研修実施の手引き』を刊行しました。
ご希望の方は、防止センターまでファックスないしメールでご連絡ください(配送料等1,000円をご負担いただきます)。

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★1       「家族の歴史」について思うこと
佐藤美和子

私は、臨床心理士として高齢者施設に訪問して、カウンセリングを行っています。最近、心に残る面接があったので、書かせていただきます。

その方は、80代の女性で、施設に入所されて間もない方でした。一人暮らしをしていた自宅前で転倒、骨折して救急車で搬送され入院したのですが、その間に認知症が進んでいてとても一人暮らしを継続できないということがわかり、一時入所することになったのでした。穏やかで人当たりもよく、入所も納得していて不満はなく、同室者ともうまくいっていました。身辺自立はしていて、日常会話には問題はありません。

しかし、ご自身の生活歴や家族についてもおぼつかないほどの記憶障害があり、自分でも一人暮らしには不安を感じているようでした。持ち家である自宅については心配しており、九州に住んでいる娘が自分の世話をするために戻ってきてくれると言っていると笑顔で話されました。

現実には、入院中に行政が、娘に連絡を取ったところ、一切かかわりを持たないと拒絶され、こちらで後見人をつけて財産を処分する手続きを行っているとのこと、いったいこの母娘の間に過去、どんな軋轢があったのでしょう!娘を頼る気持ちをにこやかに語る姿からは、想像がつきません。拒絶の経緯について行政から施設に情報はなく、娘の拒絶についても本人に伝えられていません。この先、娘との関係について本人から語られることがあるのかどうかも不明です。

虐待事例もそうですが、時間をかけて作られてきた関係のひずみに対して、第三者が介入していくのは難しいですね。新しい環境で新しい人間関係に適応するよう努力しているお母さんよりも、緊急事態においても拒絶せざるを得なかった娘さんの心のうちに痛々しさを感じてしまいます。よっぽどのことがあったのでしょうか。

いつか母親を許し、受け入れるような気持ちになってくれればいいなと願わずにいられません。娘さんのことが気になってしまった事例でした。

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★2 「スキルアップとインフォメーション・テクノロジー」

日本高齢者虐待防止センター 事務局長 梶川 義人

事例検討会では、大人数の研修会では得られない、いわば事例の機微のようなものが学べたり、コメントできると思います。ですから、私はなるべく沢山参加したいと考えてきました。高齢者虐
待の事例への取組みは法の施行によって本格化し、対応上の教訓も
格段に多く得られるようになってきましたから尚更です。

一方、齢五十ともなると、私だけかもしれませんが、やる気とは裏腹に身体の方が悲鳴をあげてしまいます。寒い時期に寒い地方に行く。暑い時期に寒い地方へ行く。片道2時間以上はかかる(しかも、電車やバスで座れない)。現任者の忙しい時間帯を避け、朝9
時から開始または夕方6時から開始(遠方からの依頼に限ってこうした要望が多い)。

ところが、最近になって、遠隔地間で互いの顔を見ながら会議できるテレビ会議システムのうち、高価な専用端末ではなく、廉価なパソコンとカメラ、ヘッドセットのだけで手軽に使える「Web会議システム」というものがあることを知りました。しかも、これ
らの機能は、今時のパソコンでは標準装備が当たり前であるそうな。言われてみれば、私のにもみんなついています。

もし、このシステムが実用的なら、センターに居ながらにして遠隔地の方々と事例検討できるようになるわけです。使わない手はありませんから、「これは詳しく調べてみなければいけない」と思う今日この頃です。
このシステムの解説がこちらにあります。 →「ウェブ会議システム入門」
(http://www.liveon.ne.jp/pre/down/tvsystem.html)

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★4 日本高齢者虐待防止学会理事会企画ワークショップ、およびINPEA(INTERNATIONAL NETWORK for the
PREVENTION OF ELDER
ABUSE)日本国委員会による第4回「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」のイベント同時開催のお知らせ

日本高齢者虐待防止学会理事会は、2008年の学会大会まで、大会の前日もしくは当日に、学会理事会企画のシンポジュウム等を実施してきました。
2009年は学会大会時ではなく、以下の日程で、INPEAの6月恒例のイベントと同時開催といたします。ふるってご参加ください。
なお、会場が狭いため、参加者は先着70名とさせていただきます。下記連絡先までメールないしファックスでお申し込みください。お断りする場合にのみ、お返事をさしあげます(断りの返事がない限り、ご参加できます)。

日時:2009年6月14日(日)
13:30~15:30  2009年日本高齢者虐待防止学会理事会企画ワークショップ
15:40~17:00  INPEA第4回「世界で高齢者虐待防止を考える日(WEAAD)」イベント

場所:東京 秋葉原ダイバビル1202号室(予定。変更の場合は参加予定者にご連絡をさしあげます)

内容:ワークショップ:
「高齢期安心講座 自分らしく暮らすために」
(高齢者向けの虐待予防プログラムの実際について体験していただきます)
講師:山口光治氏(淑徳大学国際コミュニケーション学部)

イベント:
「第4回世界で高齢者虐待防止について考える日(WEAAD)参加者のネットワーキング」
(今年は、基調講演と参加者の皆様の高齢者虐待に関する自由な意見交換会(ネットワーキング)といたします)

連絡先 首都大学東京 副田研究室 soe@tmu.ac.jp   fax:042-677-2124

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